前回は、属人給が生活態度も能力として評価することで、「モーレツ社員」や「会社人間」といった人たちを生み出し、この能力を経営者側は曲解して労働者をこき使っている、という内容で終わりました。
では、なぜモーレツ社員や会社人間といったものがそもそも生まれたのか?それは、年功賃金制度が労働者に対し能力開発を促したからです。
この文章は、なぜ1960年代に高度成長を成し遂げられたのか?なぜモーレツ社員や会社人間が現れ、しまいには過労死や自殺するものまで現れたのか?なぜトヨタやソニーなど世界的な企業に成長できたのか?という著者の問いに対する一つの結論です。
年功賃金制度は、上述のとおり、労働者に対し能力開発を強く刺激するものです。そのことによって、会社のために我が身を捧げ、休日もひたすら資格などの勉強に打ち込み、長時間残業もする。それは、会社に認められるための努力であり、また生活態度も能力として評価されるからです。
年功賃金制度によって能力が向上した労働者は次々と事業を拡大し、トヨタやソニーといった世界的企業にまで成長することができた。また、社員一人一人の能力が高いことから、「少数精鋭主義」と言われるように、正社員の雇用人数は少なくてもよく、結果として一人当たりの負担が増してしまった。
以上のことから、年功賃金、つまり属人給の長所は
①年功賃金制度は、労働者の能力開発を強く刺激した
②社員一人一人の能力が高くなるため、少人数でもやっていける
反対に短所は
①会社人間やモーレツ社員が生まれやすくなり、過労死や自殺につながる恐れがある
②生活能力も評価されるため、休日でも出勤せざるを得ない状況になりやすく、労働法が守られない
③少人数で部内をまわしていることから、一人当たりの負担が大きい
となるでしょう。
高度経済成長期は、うまく年功賃金制度が長所として機能していました。しかし、現在は長所が機能しているとは言い難く、会社に尽くすという考えだけが独り歩きするようになり、労働者は経営者にこき使われるようになったのではないでしょうか。結果ブラック企業が社会問題となった。年功賃金制度の悪い部分だけが目立つようになってしまった。ブラック企業が現在はびこる要因の一つでしょう。
では、なぜモーレツ社員や会社人間といったものがそもそも生まれたのか?それは、年功賃金制度が労働者に対し能力開発を促したからです。
年功賃金は「少数精鋭主義」の一員として労働者の能力を日々向上させていくインセンティブを強く刺激する賃金制度であった。さらに能力開発へのインセンティブは,労働時間のみでなく,休息時間や休日の過ごし方にまでおよび,ついには労働者の家庭生活や政治的立場など全人格にまでおよぶ可能性を秘めていた(伊藤2014:125)
この文章は、なぜ1960年代に高度成長を成し遂げられたのか?なぜモーレツ社員や会社人間が現れ、しまいには過労死や自殺するものまで現れたのか?なぜトヨタやソニーなど世界的な企業に成長できたのか?という著者の問いに対する一つの結論です。
年功賃金制度は、上述のとおり、労働者に対し能力開発を強く刺激するものです。そのことによって、会社のために我が身を捧げ、休日もひたすら資格などの勉強に打ち込み、長時間残業もする。それは、会社に認められるための努力であり、また生活態度も能力として評価されるからです。
年功賃金制度によって能力が向上した労働者は次々と事業を拡大し、トヨタやソニーといった世界的企業にまで成長することができた。また、社員一人一人の能力が高いことから、「少数精鋭主義」と言われるように、正社員の雇用人数は少なくてもよく、結果として一人当たりの負担が増してしまった。
以上のことから、年功賃金、つまり属人給の長所は
①年功賃金制度は、労働者の能力開発を強く刺激した
②社員一人一人の能力が高くなるため、少人数でもやっていける
反対に短所は
①会社人間やモーレツ社員が生まれやすくなり、過労死や自殺につながる恐れがある
②生活能力も評価されるため、休日でも出勤せざるを得ない状況になりやすく、労働法が守られない
③少人数で部内をまわしていることから、一人当たりの負担が大きい
となるでしょう。
高度経済成長期は、うまく年功賃金制度が長所として機能していました。しかし、現在は長所が機能しているとは言い難く、会社に尽くすという考えだけが独り歩きするようになり、労働者は経営者にこき使われるようになったのではないでしょうか。結果ブラック企業が社会問題となった。年功賃金制度の悪い部分だけが目立つようになってしまった。ブラック企業が現在はびこる要因の一つでしょう。