これに腹を立てたYは、生徒に「Yについてどう思うか」という感想を書け、とYに命令(アホ)しましたが、当然Yは「労使の問題で生徒を巻き込んではいけない」と至極まっとうな反論をして、Xの命令を拒否しました。
いよいよ激おこプンプンのYは、以下のような措置を取りました。
Xは、それまで担当していた学科の授業、クラス担任その他の校務分掌の一切の仕事を外され、席を他の教職員から引き離されて配置された上、何らの仕事も与えられないまま4年6ヵ月間にわたって一人だけが別室に隔離された。そして、更に5年余の長期間にわたる自宅研修が命じられた。長期間にわたる配置転換での嫌がらせの典型例ですね。数字だけをみれば9年と6か月もまともな仕事をさせてもらえない、ということです。このようなクレイジーなYの仕打ちに対し、Xは不当な行為と判断し、Yに対して慰謝料の支払いを求めるに至ったのです。
(96)【労働者の人権・人格権】職場での嫌がらせ
裁判所は、次のように判断しました。
まず、ボードの書き直しをしなかった始末書については、全体としてあえてXにさからったと評すべきところはない。
第2に、感想文提出の命令は、Xが主張したように労使関係について生徒を巻き込むことは教育者として適切ではない。
第3に、嫌がらせによる配置転換は、一切賃金も支給されず、物心両面にわたってXに対し多大な不利益を被らせた。
したがって、被告人Yに対し600万の慰謝料が相当とする、という判決にいたりました。高い授業料ですね。
法にある権利を主張しているだけなのに、過去の価値観にとらわれて「俺のときはこうだった。だからお前もそうしなければならない」とか「休まないで働くことが、世の中で美徳なのだ」とか、自身の価値観を押し付ける行為は恥ずべきものです。日本社会は、依然として儒教的価値観が強く、労働法なるものを知ろうともしないし、守ろうとしないファッキンカンパニーが多いですね。